放課後。
部活動のある生徒たちはそれぞれの場所で活動を行い、部活のない生徒は帰宅する。
グラウンドは野外の部活動の元気な声、構内には吹奏楽部の演奏が響く。
そんな中、部活動に入っていない雲雀は、いつもの場所で黙々と書類を片付けていた。
外からの音しか響かない応接室。
すると、急に響くドアを開ける音。
その原因が何か、誰かをわかっている雲雀はあからさまに不機嫌な顔をする。

「雲雀ーっ!」
「うるさい。勝手に入ってくるな」
「いいじゃん別にっ!いつものこと」
「出て行って。今仕事中なんだ」
「あ、それなら手伝うよ。だから追い出さないでね」

そう言って書類の半分を持っていったのは
うるさくて、落ち着きがなくて、女らしくない女子。
僕の言うことは聞こうともしない。
そんなんだから、ここによく来るようになっていた。
そしてそのたびに仕事を手伝っている。
いや、正しく言うなら"手伝わせている"かもしれない。
なぜなら、に来るたび仕事をさせているのは僕なのだから。
応接室にくるなら、仕事をやって行け、と。
…最近は、自分から言うようになってきたけど。
だから彼女は僕が何も言わなくても、やるべきことが大体わかっている。

「うわ、今日の遅刻者多いねー」
「…」
「あ、あたしの名前発見!」
「…君、今日遅刻したわけ?」
「うん、朝寝坊しちゃってさー」

あはは、と笑う姿には反省の色が見えない。
その分こいつにさせている仕事を増やそうと、
彼女のもとに倍以上の書類を持って行ってやった。
机に置く際、いい音がしたのは気のせいじゃないだろう。
はその量を見て目を丸くする。

「うわ…。なにこの量…」
「今年入ってきた一年が無能なんだ。おかげで全く減らない」
「…それで、その分を遅刻の罰としてあたしに?」
「わかってるのならさっさとやりなよ」

そう言って僕が自分の仕事に戻ると、
うーとか、あーとかいううめき声が聞こえた。
…全く、うるさい。
しばらくすると静かになりペンの走る音だけが部屋に響く。
ちらりとを見てみると、涼しい顔をして書類の量を減らしていた。

「(失敗した…)」

雲雀は思い静かにため息をつく。
にこの罰は軽すぎたかもしれない。
ただでさえ、自分から書類をとっていく女だ。
たとえ量が多くとも、この仕事に苦を感じないのかもしれない。
最初、仕事をやらせて応接室に来させないように仕向けたのが
今となっては裏目に出たのかもしれない。
…どうやったら、を応接室にこさせなくできるのだろうか。
いくら考えても、それらはどれも効果がなさそうなことばかり。
もう一度ため息をひとつついて、自分の仕事に目を戻す。
仕事に集中することにした。

**********

「終わったーっ!」
「遅い。どれだけ僕を待たせるわけ?」
「こんな量の書類を渡したのは誰よ!?」
「今年の一年を恨みなよ」

でも、彼女のために一緒に下校時間を破ってまで
学校に残っている僕は何がしたいのだろうか。。